■ 「英語科」を前倒しで取り組む品川区
グローバル化が加速する中、日本においても英語教育の低年齢化構想が進んでいます。
中でも、東京品川区ではすでに、小学1年生から「英語科」を実施しています。
小学校の外国語活動と中学校の英語教育をつなぎ、
9年間を「4-3-2」のまとまりとして捉えた上で、
児童・生徒の実態に応じた統一的で一貫性のある「英語科」
としてカリキュラムを編成すると言った試みです。
■ 東京オリンピックが英語教育を変えていく
東京五輪開催の2020(平成32)年に向けて小学校で英語を教科に格上げし、中学校から「英語で授業」を行うなどして「アジアの中でトップクラスの英語力を目指す」という文部科学省からの報告がまとめられ、地域差はあるものの日本全体で英語力の底上げが期待できそうです。
■ 「ことばを育てる」本気の小学校英語
いち早く「英語科」をスタートした東京都品川区。 どのような授業内容なのか、
小山台小学校の授業内容が次のように公開されています。
小学1年生の英語の授業は元気な子どもたちの声が響いています。
授業は担任を中心にALT(外国語指導助手)、ボランティアの3人チームで構成。
授業中は、教師も子どもたちも英語のみを使います。
公立小中学校の一貫教育を実施する品川区では、
平成18年度より「英語科」の授業を小学1年生から導入。
聞く・話すを中心に「実践的コミュニケーション能力の基礎を養う」ことに力を入れています。
■ 物語を使った学習法
Joint Storytelling(ジョイント・ストーリーテリング)
小山台小学校では、青山学院大学のアレン玉井光江教授が考案した
物語をベースに英語を習得するメソッドを採用。
〝楽しいだけではない、本気の英語教育〞を目指しています。
全学年週1回、年間35コマの英語の授業や週4回の10分間英語タイムのほかに、
朝の会、帰りの会、昼の放送なども英語。学校内は廊下や教室など、
いたるところに英語を使った展示物があります。
1年生の授業では、子どもたちが飽きないように、
アルファベット、月の名前、動物の名前などを中心に歌や手遊びなどを交えつつ、
次々と授業が進んでいきます。
ひとつのプログラムが終わる度に、元気な声で〝One more time(もう1回)!〞
と子どもたちからリクエストが。
授業の後半では「桃太郎」の紙芝居を英語で読み聞かせ。
子どもたちも集中して、真剣に英語の物語に耳を傾けています。
入学して初めて英語に触れた子も、1年近くたつと、
積極的に授業を楽しんでいると言います。
低学年のうちは歌や踊りをふんだんに取り入れている授業も、
3年生からはより「授業」に近いイメージに。
物語だけでなく、
机の上でアルファベットの読み書きの勉強も本格的にスタートします。
高学年では、同じ桃太郎を英語で暗唱する授業もあります。
学校全体で英語に真剣に向き合う小山台小学校。
1年生から繰り返し英語を学び続けることで、
子どもたちの「英語をもっと学びたい」「英語でコミュニケーションをとりたい」
という気持ちを育てています。